介護で得た経験

 

こんにちは
トリニティサロンのサンです。

今月もあと半月
今週末には冬至を迎え、今年一年の出来事に一陽来復を願ってやみません。


高次脳機能障害になった父は、要介護5の認定を受け、障害者認定も1か2の等級だったと思います。
生活の状態は福祉の力を借りて、支援サービスを目一杯使いこなしながら過ごした記憶が残っています。
福祉をあまりよく知らずに、あたふたしながら過ごした日々は、今になって記憶がおぼろげです。

当時、私の職業はヘアメイクの仕事をしていたので、私ができることと言えば
カットをし、髭をそり、爪を切り、フェイスマッサージやハンド&フットマッサージ、上半身のマッサージをすることぐらい。
父自身の身なりを整えることだけが、私が父にしてあげれることでした。

寝たきりになり、筋肉は落ちてガリガリに痩せました。
腰も立たないので、車いすに座っていてもズレてきます。
ベルトで固定し、座らせますが右に傾てきます。
左の首コリや肩コリも背中全体ガチガチです。

そんな体になって、父は何を思っていたのでしょうか?

四六時中父に付き添っているわけも行かず、ヘルパーさんにお願いをしていてもそれでも一人の時間はあります。
言葉を発すると言う行為もままならず、リハビリを受けてても言葉を交わすと言う行為をあきらめ、私の問いに
『Yes/No』しか示さなくなった。
それでも返すやり取りだけでも脳の刺激にはなってると思いつつ・・・
脳に効くことはないだろうかと思う毎日だったように思います。

そんなことがあったことで、ケアマネージャーの資格を持つ友人に介護の話をしていたら、施設で利用者にメイクをする機会を頂きました。
阪神淡路大震災を受けた時に、自宅の近くで仮設住宅が設置されたので、無料の週一カット日を設けてボランティアをした経験があったので、父の介護で得た私に出来ることを探し、実現したのが介護施設でメイク療法でした。

今では美容学校やメイクスクールでカリキュラムに付け加えられているのではないかと思うんですが。
介護や医療の現場での化粧療法の必要性はあります。
当時はなかった化粧療法、最近はよく耳にするようになりました。

女性は生まれながら、幼少期から老年期になってもオシャレやきれいになる事への貪欲さは持ち合わせています。
そこに手をかざし加えてあげることで、心も満ち、意欲も増してくることを知りました。

そこに、イケメンがしてあげると、一段と意欲も増して元気になられることだと思います。笑

色んな環境で施設のサービスを利用している利用者さんに、ポイントでリップやチーク、目元など、家の方がメイク落としの負担にならないように、すぐに落とせるポイントメイクをしてあげたり、手の形がきれいな方にはネイルをしてあげたりと、何かパッと見た目が明るくなるようなことをしてあげることで、表情や手の動き、顔の動きなどの変化がすぐに表れ、言葉の数も増え、脳への刺激が増すように思いました。

実際、利用者さんの家族様から、メイクやネイルをして帰ってきた時は、
『よくおしゃべりをして機嫌も良く、手もよく動かすようになって明るくなりました。』とご報告を受けたことを覚えています。
ネイルをしている間の会話で、昔の話や好きな事や場所、家族の話など、いろんな会話をして笑ったり驚いたり、只々日常の延長線の事しかできませんが、それでも利用者さんには喜ばれました。

そんなことが、今ではスクールで資格が持てることになっているとは、色々と研究が進んだと言う事なのでしょうね。
なので、たかが美容なのですがされど美容は大事だと言う事なんです。

美容を抜きにして医療を進めても、完全にカラダを癒す、治癒することはないと私は思っています。
カラダと心の繋がりが分かったことで、美容は心を満たします。

生活の質というQOLを向上させ、いかに健やかに生きていくかの重要性は理解されてきた今、生きることと綺麗でいることは同等に見て行かないと向上されませんからね。
医療従事者も切り替えを十分にして、美意識を高めていってほしいと思います。

父でもカットをすると表情が変わりました。
鏡を見せて、雰囲気が変わった自分の顔を見るしぐさは健在でした。
そして、髭をそりマッサージをすると、また表情が変わり柔らかさを感じます。


男の人は、今まで出来ていたことが出来なくなることへの喪失感は深そうです。
老若男女それぞれでしょうけれど、私が入院していた時、向かいの病室が消化器系の患者さんの病棟だったので、呼吸器系の疾患のご年配者が多くいらっしゃったようで、歩いたり、車いすで筋トレのように足を上げたり下げたり、立ったり座ったり、理学療法士さんが付き添って廊下でされてましたが、女性は比較的に意欲的におしゃべりしながら楽しそうにリハビリを受けています。
が、男性は途中でやめてしまいます。
頭がうなだれて動きもとまり、若い理学療法士さんもどう声をかけて良いのか・・・といったっ光景をよく見かけました。

男性には声掛けが必要ですね。
女性は声かけなくても話し始めるので問題ないように思いますが、男性は控えめです。
なので、脳の活性やカラダの機能も動かせるような声掛けや、気持ちよい感覚からのアプローチなど色んな工夫が必要になってくるでしょうね。
反対に、男の人は年を重ねても純粋さがあるので、本当に声掛け一つで変わってくると思います。

病を負っても、人は心地よく気持ちの良い感覚を持って得る権利があります。

話すことで気持ちよくなる
触れることで気持ちよくなる
綺麗になることで気持ちよくなる
すっきりさっぱりすることで心地よくなる
側にいることで心地よくなる

ただの日常にある気持ちよさでQOLの維持が出来て向上するなら、追求したっていいのではないですか。
やっていることは特別なことではないですよね。
その人の気持ちいいこと・心地よいことは何だろうか。

こちらが出来ることはしれています。本当に・・・
介護の世界に一言では言い表せれない事はたくさんありますが、それでも、気持ちよい事・心地よい事は結果、お互いがいい気持ちで終わられる行為だと思います。


渦中にいる介護者さんやがん患者の家族様も同様、介護する大変さは理解しつつ、それぞれの内容が違えば大変さも違ってきます。

介護者側が疲れないように、自分の心地よさ・気持ちよさを追求してほしいと思います。

どうぞ、冬至にはご自分の為にも滋養をしてあげてくださいませね。
一陽来復を願っています。