予防医学・・・遺伝子検査を受けて

 

術後、病理検査の結果と共に遺伝子検査を受けた結果も同時に告知された日・・・

その日はこれまでの中で一番辛かった。
診察室では精いっぱい感情を抑えたけれど・・・心の中は荒れるよね。

こんにちは
トリニティサロンの三田です。

私が乳がんに罹患してからこの日まで、感情がかき乱されることなくやってきたのに、ここで落ち込むとは・・・。
今までに、自分に起こる出来事は全て受け止めてきたのだけど、親として無力さを感じた。

思い悩んでも仕方がないのだけれど、行き場のない感情をどうやって立て直すものなのかとずっと暗い穴の中のいたように思います。

自分が乳がんに罹患したこと・両方の胸を失ったことよりもキツい!
私の遺伝子検査の結果が陽性と出たことで、私の遺伝子変異は娘に50%の確率で受け継ぐことになる。
あげたくもない遺伝子変異。
高齢出産で問題なく出産を終え、大きな病気にも怪我にも不調にも見舞われることなく、元気に育った娘のカラダにこのような結果を手渡さなければならないのか!!!

ほんとに落ち込んだ。

実際に娘が私の遺伝子変異を受け継いでることなどは、まだわからない。
受け継いでないかもしれない。
これもタラレバの渦に呑まれることになり、娘の将来を考えてしまう。
ただでさえ高齢出産で親子差年齢40歳。
どこまで娘のカラダを案じ、見守ることができるのだろうか?

母も親戚も乳がんや卵巣がんなどの病歴はいない。
なので結果が陽性と出た時は『なんで?』って信じられなかった。

だけど、母方の兄弟・姉妹達の病歴などを調べていくと、がん家系ではある。
私が罹患した時には概ね、母の兄弟・姉妹の生存者は少なく、義理の親戚しか残っておらず、家族病歴を調べるにはやや気が引ける作業になった。
まして、今年の初めは母の故郷となる石川県が地震に見舞われた。

乳がん・卵巣がん・前立腺がんなどいないのに陽性とならば、やはり聞いておきたい。
私は母方の親戚付き合いはマメにしているのだけど、義理たちも高齢になり心配させたくもないので、聞き出すには頭を捻らないといけなかったけれど、遺伝子変異陽性と出る結果には何かしらの理由を見出したいのもある。

遺伝子が原因で発症する『遺伝性乳がん・卵巣がん症候群(HOBC)』
がん抑制遺伝子であるBRCA1またはBRCA2の遺伝子に、生まれつきがんになりやすいという特徴(病的バリアント)を持っていることが原因で発症する遺伝性腫瘍。
BRCAは本来損傷した遺伝子の修復機能を持つ遺伝子なんだけど、BRCAが変異によって遺伝子修復機能がエラーを起こし、その結果がんの発症リスクを高めるという遺伝子変異の私は、BRCA2の保有者となったのです。

このBRCA2の累積罹患リスクに乳がん以外で『卵巣がん・膵がん・胃がん・前立腺がん』などがあり、最初の発症が乳がんであったので、8か月後にリスク低減摘出手術を受け、卵巣・卵管を摘出しました。

母は肺がんであったけれど、叔父たちは胃がんに膵がんが分かり、このつながりでBRCA2の遺伝子が陽性となったのだろうかと私は思っています。

私から先のつながりに、この遺伝子を断ち切りたい思いでいっぱいなんだけど、今の医学では無理だとすれば娘に何ができるのだろうか?

食事?生活習慣?メンタル?
なんだろう?

私の乳がんは娘にも伝えてあり、生活の中で、健康に気を付ける意識は娘にも伝わっているのだけど、この遺伝子変異の話はじっくりと話していない。
それよりも、思春期に起こる変化・・成長の波にうまく乗れるように、誘導している最中なので、自分のカラダの管理が出来てきたら話そうかと思っています。

姪や甥などにも、私の遺伝子変異の情報はコピーして持たせ、もしもの時の情報源を手渡しています。

日本は予防医学があまり盛んではないですよね。
捉え方ひとつなのでしょうけど、
私が受けた『がんゲノム医療』は我が家のがん家系にとって、予防医学だと思っています。